2013年4月8日月曜日

面(おもて)


仮面に関する本第二弾。
【面からたどる能楽百一番】

著者:三浦 裕子
発売日:2004年

能楽鑑賞のガイド本でした。
能楽における面の役割を知ることができます。
先日投稿した「民族の仮面」と重なるところも多かったですね。


▼能について
能は仮面劇。
能面・狂言面=能・狂言に使われる仮面

能面は変身の道具であり、それ以上の演出家に似た絶対的存在として、さらに高い芸術性を誇る美術品としての魅力を備えている。

能面が複雑にして多岐な役割を果たしているのは演者が信仰心に近い真摯な気持ちで面に向き合い、能・狂言を演じてきたから。

能面・狂言面は「かぶる」とはいわず「かける」といい慣らわすが、すべてを賭けるという意味に通じることが言われている。

最近では面の制作を楽しむ人が増え、使用される面を公演パンフレットなどに明示することが増加。

▼能面の用法と種類

◆能面の用いられ方
能で用いられる仮面は、能面あるいに面(おもて)という。

約60種類を揃えれば、現在240曲ある能のレパートリーの殆どを上演することが可能。

能では全て役柄に面を使うわけではない。
能面を霊力の宿る存在とみなす発想のもと、神仏・天人・仙人・草木の精・鬼神・亡霊・霊獣などの超人間的な役柄に用いる原則がある。

現実に生きる生身の人間の役柄には面を用いず、素顔で演じる。
このことを直面(ひためん)という。

◆面をかけた演技の効果
演者の心と演技とを一体化するのが、面であり、だからこそ表情が変わるはずのない面が、演者の心のうちに湧き上がる感情や意志を見せてくれる。

優れた面とは演者の人間性を引き出すものであり、優れた演者とは面を通して豊かな人間性をおのずと表明する。

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民族の仮面では、仮面=敬う対象のもの、
能面は仮面=霊力の宿る存在=変身の道具=美術品。
民族の仮面ではでてこなかった、美術品、というワードがでてきました。
若干意味合いが違うのでしょうかね。

そもそも能においては面(めん)ではなく面(おもて)と呼ぶそうで。
英語ではmaskの一言で表せますが、やっぱり日本語は複雑ですね。
海外の方に説明するときはなんといえばいいのやら。


面をかけた演技の効果、というのは民族の仮面と似ていますね。
面を着け(かけ)る、着け(かけ)ないの違いで個性の移行+心理的変化が見られるというのはとても興味深いです。


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